おもちゃラボ

Unityで遊びを作ってます

鉄道模型のパワーパックを自作する

鉄道模型を動かすときの電源装置はKATOやTOMIXなど各社から発売されています。呼び方も「パワーパック」だったり「パワーユニット」だったりとまちまちですが、とにかく電車の速度が変えられるあれです。

うちにも一台あったのですが、行方不明になってしまい・・・(なんでや)、せっかくなので自作してみることにしました。

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今回作るパワーパックの仕様

さて、今回作るパワーパックは機能を削ぎ落としたスリムパワーパック(なんか、モバイルバッテリーっぽい名前)にしようと思います。機能は次の通り。

  • 電源電圧は12V1A、過電流保護付き
  • ボリュームで速度調整ができる
  • 電源スイッチ付き

流石に過電流保護とボリュームがついていないと、もはや電源アダプタを直つなぎしたのとあまり変わらないので、こうなりました(笑)

パワーパックの回路図

今回作成するパワーパックの回路図は次のようになります。

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トランジスタ1石の超シンプル回路構成です。ボリュームによってトランジスタのベースの電圧(と流入する電流量)を調節し、トランジスタからの出力電圧を変化させます。

トランジスタには2SD1415Aを使っています。ダーリントントランジスタでないと出力する電流量が足らなくて、電車が動かない可能性があります。2019年2月現在、秋月で100円程度で販売されています。

akizukidenshi.com

あ、あとトランジスタの足ですが、平らな面からみて左から「エミッタ・コレクタ・ベース」の順番で並んでいます。ちょっとハマりポイントなので注意してください!

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あとの材料は、一般的なものなので何でも構いません。過電流保護用のポリスイッチは忘れずにつけてください。パワーパックは壊れても鉄道模型は壊さないでください。

一応使用した部品のリストを書いておきます。

あと、レールと電源はこちらを使用しました。

パワーパックの組み立て

今回自作するパワーパックの回路は非常に単純なので、ラグ板を使って組みました(渋い)
電源入力端子と出力端子(コネクタ)はホットボンドを使って固定しています。ええ邪道です。

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ラグ板に半田がうまく乗らないときは、フラックスを塗りたくりましょう(ってほど、塗っちゃだめです)ものすごくはんだ付けが捗ります。

完成したパワーパックがこちら。ちゃっちいですが、ちゃんと動きます。

パワーパック完成写真

試運転

ちゃんと動いてます。走っているのはEgger Bahn No5。小型の機関車がとても好きなのです。

パワーパック動作動画

ここまで読んでいただいてなんですが、
パワーパックぐらい自分で買うよ、という方はこちらからどうぞ(笑)

どんどん遠ざかりますが、
鈴木天狗堂の手摺り花札はこちらから
tengudo.hatenablog.jp

【EAGLE】プリント基板を自作する エッチング編

前回はEAGLEを使って配線パターンを作成しました。

nn-hokuson.hatenablog.com

今回はこれを実際のプリント基板上に実装するまでの流れを説明したいと思います。転写〜エッチングまでの流れは次のとおりです。

  1. 配線パターンを印刷する
  2. 配線パターンを転写する
  3. エッチングする

それではまず、配線パターンを印刷するところから見ていきましょう。

配線パターンを印刷する

配線パターンを転写するためにはレーザープリンタで印刷する必要があります。家にレーザープリンタがあるならそれでOKです。

レーザープリンタが無い人(普通?)は、インクジェットでプリントしてから、コンビニでコピーすればOKです。

コピーするのはセブン・イレブンがオススメです。セブイレの株主というわけではありませんが(笑)紙質とトナーの乗りが一番転写に向いていました。ローソンとファミリーマートでコピーしたものは、うまく転写できませんでした。

家にプリンタすら無い・・・という人は
ネットプリントなどを使えば良さそうです。

www.printing.ne.jp

印刷した配線パターンはこんな感じになりました。
失敗したとき用に多めに印刷しておくと楽です。

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プリント基板を切り出す

印刷したパターンサイズに合わせてプリント基板を切り出します。

プリント基板を着るにはPカッターを使います。両面からスジ彫りしてから折り曲げるとパキっときれいに割れます。片側だけスジ彫りすると、不格好に割れることがあります。

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今回は2.5cm x 3.0cmのサイズにプリント基板を切り出しました。

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配線パターンを転写する

いよいよ山場の転写工程です。ここが一番ミスりやすくて、情報が錯綜している部分でもあります。

転写する方法として、次の3つが主に紹介されています。

  • 転写シートを使う方法
  • アセトンで転写する方法
  • アイロンで転写する方法

うちではアイロン転写が一番簡単で上手くいく(ただし結構シンドイ)方法でした。なので、この記事ではこれをオススメします。必要なものはヤスリとアイロンだけです。

まずはプリント基板の銅板面を200番程度のヤスリ(またはスチールウール)でヤスリます。これで表面についている油やサビなどの汚れを落として、転写しやすい状態になります。

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次にプリントした紙を水に濡らして銅板面に貼り付けます。

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このあと3分〜5分ぐらい思いっきり上からアイロンで押さえつけます。

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終わったら、プリント基板を水につけて紙をふやかします。アイロン台から基板を取るときに非常に熱くなっているので注意してください。

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ある程度紙がふやけてきたら、ゴリゴリこすりながら紙を剥がしていきます。ちゃんと転写できていれば、こすっても基板側のトナーは剥がれません。

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これで転写の工程が完了です。この時点で転写ミスが見つかったら・・・。一部分だけ修正したい場合は、油性ペンで塗りつぶせば大丈夫です。

全面的にやり直したいときはアセトン(ネイルの除光液)をかけることでトナーを洗い流せるので、再度アイロン転写をやり直してください。

エッチングする

次に転写したパターンを使ってエッチングしていきます。トナーが乗っている黒い部分はエッチングされず、銅版がのこります。一方マスクされていない部分はエッチングされ、絶縁領域になります。

まずはエッチング液をつくります。必要なものは次の3点です。

  • オキシドール
  • クエン酸
  • 食塩

今回の基板サイズ(6cm^2)くらいならクエン酸4g、食塩1gを紙コップに入れて、そこにオキシドールを入れていきます。時々かき混ぜながら、クエン酸と食塩が全部溶け切るくらいまでオキシドールを追加します。

温度が低いとエッチングが進みにくいので、お湯(50℃くらい)を張った容器を用意し、そこに紙コップを沈めてエッチングします。

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エッチング中の様子です。だんだん泡が出てきて、溶液がエメラルドグリーンに変化していきます。エッチング時間が長すぎると、トナーでマスクしたところまで侵食してしまうので、必要な部分がエッチングできたらすぐに引き上げるようにしてください。

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最後にプリント基板のトナーを洗い流します。トナーは水では流れないので、アセトン(ネイルの除光液)を使います。これをジャバジャバかけてトナーを流したあと、ヤスリで軽くこすります。

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これでエッチングによる自作プリント基板の完成です。テスターで必要なところが導通しているか?不要なところが導通していないかの確認を行っておきましょう。

部品をはんだ付けする

作成したプリント基板に部品をはんだ付けします。まずはドリルで穴を開けます。

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あたかも、ハンドドリルで穴を開けたような写真ですが、手動は大変なのでルーターや電動ドリルを使いましょう(笑)ドリル径は0.8mmがちょうど良いです。

半田ののりを良くするため、プリント基板全体にフラックスを塗っておきます。これを塗らないと、半田が流れずに苦労します。

フラックスが塗れたら、最後に半田付けをします。無事ピカピカしています。長かったですね。。

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エッチング液の捨て方

さて、最後に大切なことをもう一つ。

エッチング後の廃液には銅イオンが含まれているため、そのまま流してはいけません。絶対に駄目です。イタイイタイ病があなたの家から発生します(知りませんが)

エッチング液に溶け出した銅イオンを抽出する必要があります。そのためにはアルミホイルをエッチング液にちぎって入れます。一度に大量のアルミホイルを入れると、発熱やらなんやらで、すごいことになるので注意です!

銅イオンが抽出されると、溶液は黒くなり、下の方に銅が沈殿しているのがわかります。コーヒーフィルターなどでろ過してから捨てるようにしましょう。

【EAGLE】プリント基板を自作する 配置&配線編

前回はEAGLEを使って、LED点滅回路の回路図を作りました。

nn-hokuson.hatenablog.com

今回は前回作成した回路図をもとに、プリント基板上にトランジスタや抵抗・キャパシタなどの部品を配置していきましょう。

プリント基板に部品を配置する

EAGLEの画面上部にある「Generate/Switch to board」ボタンをクリックして下さい。

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プリント基板に部品を配置する画面に変わります。画面左下に先ほど使用した部品が全て配置されているので、これをプリント基板上にドラッグしてのせていきます。

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部品どうしを繋いでいる配線の長さがなるべく「短く」「交わらない」ように部品を配置するのがポイントです。右クリックのメニューから部品を回転させたり反転させたりできるので、いい感じに部品の位置関係を調整していきます。

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今回は上のような感じに部品を配置しました。

プリント基板のサイズを調節する

エディタの外周に表示されている黄色い枠がプリント基板のサイズです。今のままでは基板サイズが大きすぎるので小さくしましょう。部品を配置したエリアを囲むぐらいのサイズに縮小します。

基板サイズを変更するには左側のツールバーから「Move」ツールを選択して、黄色い枠をドラッグします。

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だいたいこんな感じになりました。

自動配線する

今は部品どうしの接続関係までは定義されていますが、実際の配線経路はまだ決まっていません。EAGLEには、プリント基板上の部品の位置を考慮して自動的に配線をしてくれる自動配線ツールがあるので、それを使いましょう。

まずは自動配線の設定をします。メニューバーから「Edit」→「Net Classes...」をクリックして設定画面を開いて、次のように設定して下さい。自動配線の設定ができたら「OK」ボタンをおして設定画面を閉じておきます。

名前 意味
Width 配線の太さ 50mil
Drill ドリル径 0mil
Clearance 配線の間隔 15mil

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次に、左側ツールボックスからAuto Routerを選択してください。

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自動配線をするレイヤの設定をします。ここではプリント基板の裏面に配線をするので、Topは「N/A」、Bottomは「Auto」に設定します。設定できたら右下の「Continue」ボタンをクリックします。

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全て配線が終わると、次のように配線パターンが表示されます。

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もし、配線をやり直したい場合は、画面上部の入力欄に「ripup;」と入力して下さい(最後のセミコロンも忘れずに!)。エンターキーを押すと自動配線結果が削除されます。

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ベタパターンを作る

基板上の空いたスペースもパターンで塗りつぶしておきます。これをベタパターンと呼び、通常はGNDと接続します。ベタパターンを作成することで、次のような利点があります。

  • 銅板をエッチングする面積が減り、エッチング液の節約になる
  • ベタパターンをGNDとすることでノイズ特性がよくなる

EAGLEでベタパターンを作るにはポリゴンツールを使用します。ツールバーからポリゴンツールを選択してください。

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次に配線とベタパターンの最小距離を設定します。上のツールバーから「Isolate」の値をドロップダウンリストから選択してください。ここでは「30」に設定しました。ドロップダウンリストで選択できる値以外は入力しても無効になるようなので注意です。

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このポリゴンツールで基板を囲むような長方形を書きます。少しぐらいはみ出していても大丈夫です。長方形をかけたら「Ratsnest」ボタンをクリックして下さい。ベタパターンが作成されます。

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これでプリント基板の配置配線が完成です。部品を配置して配線を決めるところまでは、最初は試行錯誤の繰り返しですが、慣れたらパズルのように簡単にできるようになります〜(たぶん)

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次回予告

次回はいよいよ、実際のプリント基板に今回作った配線パターンを転写し、エッチングをおこないます。プリント基板を自作する醍醐味の詰まった回なのでお楽しみに!
nn-hokuson.hatenablog.com