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【EAGLE】プリント基板を自作する エッチング編

前回はEAGLEを使って配線パターンを作成しました。

nn-hokuson.hatenablog.com

今回はこれを実際のプリント基板上に実装するまでの流れを説明したいと思います。転写〜エッチングまでの流れは次のとおりです。

  1. 配線パターンを印刷する
  2. 配線パターンを転写する
  3. エッチングする

それではまず、配線パターンを印刷するところから見ていきましょう。

配線パターンを印刷する

配線パターンを転写するためにはレーザープリンタで印刷する必要があります。家にレーザープリンタがあるならそれでOKです。

レーザープリンタが無い人(普通?)は、インクジェットでプリントしてから、コンビニでコピーすればOKです。

コピーするのはセブン・イレブンがオススメです。セブイレの株主というわけではありませんが(笑)紙質とトナーの乗りが一番転写に向いていました。ローソンとファミリーマートでコピーしたものは、うまく転写できませんでした。

家にプリンタすら無い・・・という人は
ネットプリントなどを使えば良さそうです。

www.printing.ne.jp

印刷した配線パターンはこんな感じになりました。
失敗したとき用に多めに印刷しておくと楽です。

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プリント基板を切り出す

印刷したパターンサイズに合わせてプリント基板を切り出します。

プリント基板を着るにはPカッターを使います。両面からスジ彫りしてから折り曲げるとパキっときれいに割れます。片側だけスジ彫りすると、不格好に割れることがあります。

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今回は2.5cm x 3.0cmのサイズにプリント基板を切り出しました。

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配線パターンを転写する

いよいよ山場の転写工程です。ここが一番ミスりやすくて、情報が錯綜している部分でもあります。

転写する方法として、次の3つが主に紹介されています。

  • 転写シートを使う方法
  • アセトンで転写する方法
  • アイロンで転写する方法

うちではアイロン転写が一番簡単で上手くいく(ただし結構シンドイ)方法でした。なので、この記事ではこれをオススメします。必要なものはヤスリとアイロンだけです。

まずはプリント基板の銅板面を200番程度のヤスリ(またはスチールウール)でヤスリます。これで表面についている油やサビなどの汚れを落として、転写しやすい状態になります。

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次にプリントした紙を水に濡らして銅板面に貼り付けます。

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このあと3分〜5分ぐらい思いっきり上からアイロンで押さえつけます。

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終わったら、プリント基板を水につけて紙をふやかします。アイロン台から基板を取るときに非常に熱くなっているので注意してください。

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ある程度紙がふやけてきたら、ゴリゴリこすりながら紙を剥がしていきます。ちゃんと転写できていれば、こすっても基板側のトナーは剥がれません。

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これで転写の工程が完了です。この時点で転写ミスが見つかったら・・・。一部分だけ修正したい場合は、油性ペンで塗りつぶせば大丈夫です。

全面的にやり直したいときはアセトン(ネイルの除光液)をかけることでトナーを洗い流せるので、再度アイロン転写をやり直してください。

エッチングする

次に転写したパターンを使ってエッチングしていきます。トナーが乗っている黒い部分はエッチングされず、銅版がのこります。一方マスクされていない部分はエッチングされ、絶縁領域になります。

まずはエッチング液をつくります。必要なものは次の3点です。

  • オキシドール
  • クエン酸
  • 食塩

今回の基板サイズ(6cm^2)くらいならクエン酸4g、食塩1gを紙コップに入れて、そこにオキシドールを入れていきます。時々かき混ぜながら、クエン酸と食塩が全部溶け切るくらいまでオキシドールを追加します。

温度が低いとエッチングが進みにくいので、お湯(50℃くらい)を張った容器を用意し、そこに紙コップを沈めてエッチングします。

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エッチング中の様子です。だんだん泡が出てきて、溶液がエメラルドグリーンに変化していきます。エッチング時間が長すぎると、トナーでマスクしたところまで侵食してしまうので、必要な部分がエッチングできたらすぐに引き上げるようにしてください。

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最後にプリント基板のトナーを洗い流します。トナーは水では流れないので、アセトン(ネイルの除光液)を使います。これをジャバジャバかけてトナーを流したあと、ヤスリで軽くこすります。

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これでエッチングによる自作プリント基板の完成です。テスターで必要なところが導通しているか?不要なところが導通していないかの確認を行っておきましょう。

部品をはんだ付けする

作成したプリント基板に部品をはんだ付けします。まずはドリルで穴を開けます。

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あたかも、ハンドドリルで穴を開けたような写真ですが、手動は大変なのでルーターや電動ドリルを使いましょう(笑)ドリル径は0.8mmがちょうど良いです。

半田ののりを良くするため、プリント基板全体にフラックスを塗っておきます。これを塗らないと、半田が流れずに苦労します。

フラックスが塗れたら、最後に半田付けをします。無事ピカピカしています。長かったですね。。

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エッチング液の捨て方

さて、最後に大切なことをもう一つ。

エッチング後の廃液には銅イオンが含まれているため、そのまま流してはいけません。絶対に駄目です。イタイイタイ病があなたの家から発生します(知りませんが)

エッチング液に溶け出した銅イオンを抽出する必要があります。そのためにはアルミホイルをエッチング液にちぎって入れます。一度に大量のアルミホイルを入れると、発熱やらなんやらで、すごいことになるので注意です!

銅イオンが抽出されると、溶液は黒くなり、下の方に銅が沈殿しているのがわかります。コーヒーフィルターなどでろ過してから捨てるようにしましょう。