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【Unity】インベーダ作りで学ぶUnet超入門2

前回はUnetを使ったプログラムの作り方の概要を紹介し、プログラムを作るための準備をしました。今回はプレイヤの動きを作っていきましょう。

nn-hokuson.hatenablog.com

Network Managerのはたらき

まずはネットワーク関係の準備をすべて受け持ってくれるNetwork Managerについて説明します。Network Managerの主な役割には次のようなものがあります。

  • サーバーになるかクライアントになるかを選択
  • プレイヤを人数ぶん自動的に生成
  • ネットワーク同期するオブジェクトを生成

このようにNetwork Managerはネットワークに必要な作業全般を受け持ちます。

色々あってややこしそうですが、Network Mangerコンポーネントが基本的に全部やってくれるので、プログラマがやることは次の2つです。

  1. プレイヤのPrefabオブジェクトの登録
  2. ネットワーク上で動的に生成するPrefabの登録

プレイヤのPrefabを登録しておくと、人数分のプレイヤをゲーム開始時に自動生成してくれます。

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また、ネットワーク上で動的に生成したいPrefabもNetwork Managerに登録しておく必要があります(こちらは敵を作るときに説明します)。

Network Managerを作る

では早速NetworkManagerコンポーネントをアタッチするところから作っていきましょう。まずはヒエラルキービューでCreate→Create Emptyを選択し、空のオブジェクトを作成します。オブジェクト名はNetworkManagerにしておきましょう。

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作成したNetworkManagerオブジェクトにネットワーク用のコンポーネントをアタッチします。インスペクタからAdd Componentボタンをクリックし、Network → NetworkManagerコンポーネントとNetwork → NetworkManagerHUDオブジェクトをアタッチして下さい。NetworkManagerHUDはサーバーになるかクライアントになるかを、ゲーム実行時にGUIで選択できるようにするための、お助けコンポーネントです。

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ここまでで、一度実行してみましょう。次のような画面が表示されて、ホスト(サーバー)かクライアントかを選択できるようになっています。

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ネットワーク対応のプレイヤを作る

次にプレイヤ(自機)を作っていきましょう。ネットワークゲームといっても、普通のゲームと作り方はそんなに変わりません。

プレイヤのスプライトをシーンウインドウにドラッグ&ドロップします。続いてプレイヤの位置をネットワークで同期するためNetworkTransformコンポーネントをアタッチします。Playerオブジェクトを選択した状態でインスペクタのAdd Componentボタンを押し、Network→Network Transformを選択してください。

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前回の記事で説明したとおり、Unetではプレイヤはクライアントの入力を受けてサーバーを更新するという順番で動かします。そのため、PlayerオブジェクトのNetwork Identityコンポーネントの「Local Player Authority」にチェックを入れます。

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キー入力に応じてプレイヤを移動させるスクリプトを作成します。名前をPlayerControllerに変更しましょう。変更できたら次のスクリプトを入力してください。

using System.Collections;
using System.Collections.Generic;
using UnityEngine;
using UnityEngine.Networking;

public class PlayerController : NetworkBehaviour {

    void Start () {
         transform.position = new Vector3(0, -4, 0);        
    }

    void Update () {
        if (!isLocalPlayer) return;

        if (Input.GetKey(KeyCode.A)) transform.Translate(-0.1f, 0, 0);
        if (Input.GetKey(KeyCode.S)) transform.Translate( 0.1f, 0, 0);
    }
}

通常のスクリプトとほぼ同じですね。ただ、普通のクラスがMonoBehaviorクラスを継承しているのに対して、ネットワークオブジェクトの場合にはNetworkBehaviorクラスを継承します。

Updateメソッドの中で、キー入力を受け取る前にisLocalPlayerかどうかをチェックしています。Unetでは、自分のプレイヤを「ローカルプレイヤ」として他人のプレイヤとは区別します。isLocalPlayerをチェックすることで、自分のプレイヤだけを動かすことができるようになります

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作成したPlayerControllerは、Playerゲームオブジェクトにドラッグしてアタッチしておきましょう。

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普通のUnityプロジェクトなら、これで実行すればPlyerを動かせますね。ただ、Unetを使ったプロジェクトではプレイヤはNetwork Managerに作成してもらう必要があります。

プレイヤをNetworkManagerで生成してもらう

では、作成したプレイヤをNetworkManagerに生成してもらう部分を作ります。まずはNetwork Managerに登録するためのPrefabを作ります。

ヒエラルキーウインドウのPlayerをプロジェクトウィンドウにドラッグして、名前をplayerPrefabに変更してください。作成したplayerPrefabをNetworkManagerのSpawn Info→Player Prefabにドラッグしてください。

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Player PrefabにセットすることでNetworkManagerがゲーム開始時に人数分のプレイヤを自動生成してくれます。したがって、現在ヒエラルキーウインドウにあるPlayerは不要です。deleteで消しておいて下さい。

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2台の端末で仮想的に通信する

実際にゲームを実行してちゃんと動くか試してみましょう。2台で通信するのは手間がかかるので、通常はPC/Mac用の実行ファイルとして書き出したアプリと、Unityエディタ間の通信で動作確認します。

 書き出した実行ファイルを実行してHostを選択、エディタではClientを選択します。HostでA/Sキーを使ってプレイヤを動かすと、それにあわせてClientのプレイヤも移動します。また逆にClientでプレイヤを動かすと、Hostのプレイヤが左右に移動します。それぞれでプレイヤを動かしてみて、同期して動くか確かめてください。

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プレイヤの作り方まとめ

プレイヤの生成とネットワーク対応はこれで終了です。やったことをまとめておきましょう。

  1. プレイヤオブジェクトにNetworkIdentityコンポーネントとNetworkTransformコンポーネントをアタッチ
  2. クライアントで移動を制御するためLocalAuthorityにチェックを入れる
  3. isLocalPlayerで自分のプレイヤだけを移動させるスクリプトを作成
  4. NetworkManagerにプレイヤのPrefabを登録する

次回はネットワークで同期して動くインベーダーを作っていきます。
nn-hokuson.hatenablog.com

【Unity】インベーダ作りで学ぶUnet超入門1

Unityでネットワークゲームを作るにはUnetというライブラリを利用します。このUnetを使うことで簡単(?)にネットワークゲームを作ることができます。

簡単にハテナがついているのは、それほど簡単じゃないからです(笑)

Unetには様々なネットワークの専門用語が出てきて、どうやって作ったら良いのか混乱しがちです。ただ、基本的なパターンはある程度決まっているので、それを紹介してからインベーダーゲームづくりに取り掛かりましょう。

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今回の目次は次のようになります。

ネットワークゲームの基本パターン

Unetを使ってネットワークゲームを作る場合、基本になるのは次のようなサーバとクライアントがあるパターンです。
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2人以上の対戦ゲームでは、1台がサーバーとクライアントを兼ねた「ホスト」と呼ばれる役割になります。ときどきホストという言葉がでてくるので、覚えておきましょう。

オブジェクトの生成と移動

さて、いよいよネットワークゲームの作り方について考えていきます。いきなり、とても大切なことですが、Unetを使ったネットワークゲームを作る場合には、サーバーでオブジェクトを生成するのが基本になります。

サーバーでオブジェクトを生成すると、それが各クライアントでも自動的に生成されます。

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サーバーでオブジェクトを動かすと、各クライアントでも自動的に移動します。

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超簡単ですね(笑)

クライアント側でオブジェクトを動かす

上のように動きが決まった敵などはサーバー上で動かせばよいですが、プレイヤなどユーザーが操作するものをこの仕組で動かすのは基本的にNGです。

クライアントからの入力をうけてサーバー経由で動かそうとすると次のようになります。

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ただ、この仕組でプレイヤを動かすと、ボタン入力してからプレイヤが動くまでに、サーバーに行って来ての通信ラグ(②〜④)が発生してしまいます。これではゲームになりません。

そこで、プレイヤだけは特別扱いしてクライアント側で動かせる「Local Player Authority」というチェックボックスがあります。Unetを使ってプレイヤを動かす場合には、基本的にこの方法を使います。

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Unetの基本スタイル

さて、まとめると・・・

  1. 基本的にネットワークで同期したいオブジェクトはサーバーで生成する。また、移動するのもサーバー側で行う。
  2. ただしプレイヤだけは、通信のラグを考えてクライアント側で動かす

この2つをおさえておけば、今後Unetを使ってネットワークゲームを作る場合に役立つこと間違いなし!です。たぶん(笑)

今回作るUnet対応インベーダーゲーム

今回作るインベーダーゲームのイメージは次のような感じになります。

敵が左右に移動しているのば通常のインベーダーゲームと同じですが、今回作るゲームではプレイヤの機体が2台表示されています。

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各プレイヤが1台1台の機体を操って、インベーダーを破壊します。機体はネットワークで同期されているので、一人が機体を動かすと、相手の画面でも同じ動きをします。機体を動かすにはAキーとSキー、弾を打つにはスペースキーを押します。

だいたい、今回作るインベーダーゲームのイメージは掴めたでしょうか。ではプログラムを作っていきましょう。

プロジェクトの作成

では、今回はUnetでインベーダーゲームを作る下準備だけしておきましょう。ここではUnity2018.1.0f3を使って紹介しますが、Unity2017以前のものでも、ほぼ同じ方法で動作できると思います。

まずはUnityを起動し、プロジェクト名をInvader、Templateを2Dにしておきます。Unetは2Dでも3Dでも問題なく動作します。

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つづいて必要なアセットをプロジェクトビューにドラッグ&ドロップしてください。今回使用するアセットは↓からダウンロード可能です。

https://app.box.com/s/2v7zmz7hdttiyaxe4t9yi4af7xsi4z6m

このような状態になればOKです。

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画面の背景を設定しておきます。プロジェクトウィンドウからbackgroundをシーンビューにドラッグしてください。再背面に表示するため、インスペクタから「Order in Layer」を「-1」に設定します。

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今回はここまでにしておきましょう。次回はネットワーク同期したプレイヤを動かすところまでを作っていきたいと思います。

【Unity】複数点を通るスプライン曲線に沿って動かす

指定した点をとおるようにUnityちゃんを動かしたい場合、単に点を結ぶだけではカクカクした動きになってしまいます。

そんなときはベジェ曲線やスプライン曲線と呼ばれる曲線を使います。スプライン曲線を使えば、すべての点を通る滑らかな曲線を引くことが出来ます。

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スプライン曲線に沿って動かす

通常のベジェ曲線やスプライン曲線を使うと、複数点を結ぶ場合に接続点での挙動がおかしくなってしまいます。そこで、ゲームでは次の「丸み不均一スプライン曲線」なるものがよく使われているようです。

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ここで引数のp1,p2は各点の座標、v1,v2は方向ベクトルを表します。次のサイトの内容(もとはGame Programming Gems4の内容らしいです)を参考にプログラムを作ってみます。

marupeke296.com

これを素直に実装すると次のようなメソッドになります。

Vector3 CalcSpline(Vector3 p1, Vector3 p2, Vector3 v1, Vector3 v2, float t)
{
	Matrix4x4 T = new Matrix4x4();
	Matrix4x4 H = new Matrix4x4();
	Matrix4x4 G = new Matrix4x4();

	T.m00 = t*t*t; T.m01 = t*t; T.m02 = t; T.m03 = 1;

	H.m00 = 2; H.m01 = -2; H.m02 = 1; H.m03 = 1;
	H.m10 =-3; H.m11 =  3; H.m12 =-2; H.m13 =-1;
	H.m20 = 0; H.m21 =  0; H.m22 = 1; H.m23 = 0;
	H.m30 = 1; H.m31 =  0; H.m32 = 0; H.m33 = 0;

	G.m00 = p1.x; G.m01 = p1.y; G.m02 = p1.z; G.m03 = 1;
	G.m10 = p2.x; G.m11 = p2.y; G.m12 = p2.z; G.m13 = 1;
	G.m20 = v1.x; G.m21 = v1.y; G.m22 = v1.z; G.m23 = 1;
	G.m30 = v2.x; G.m31 = v2.y; G.m32 = v2.z; G.m33 = 1;

	return (T * H * G).GetRow(0);
}

CalcSplineはスプライン曲線上の座標を返すメソッドです。tを0〜1まで動かすことで、p1〜p2までのスプライン曲線上の座標を得ることが出来ます。

この方法では、各点の座標と方向ベクトルさえわかれば良いので、簡単に複数点を通る滑らかなスプライン曲線を作ることが出来ます。

 
と、ここまでプログラムを作っておいてなんですが・・・
重大発表。
 
 
悪いことは言いません、
やめておきましょう!

 
UnityにはDOTweenという、超便利なアニメーションアセットがあり、もちろんスプライン曲線もサポートされています。ここは易きに流さましょう。笑


DOTweenでスプライン曲線に沿って動かす

DOTWeenでスプライン曲線に沿って動かすには、パス上の各ポイントの座標を配列で指定します。あとはDOTweenがいい感じにのスプライン曲線(CatmullRom)を作成してくれます。もちろんモデルを生成したスプライン曲線に沿って動かすのも簡単に出来ます。

DOTweenをAsset Storeからインポートできたら、プレイヤのコマを動かすスクリプトを作ります。プロジェクトウィンドウでC#のスクリプトを作ってください。名前は「Person.cs」にしておきましょう。

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ファイルが出来たら次のスクリプトを入力してください。

using System.Collections;
using System.Collections.Generic;
using UnityEngine;
using DG.Tweening;

public class Person : MonoBehaviour
{
    void Start()
    {
		Vector3[] path = {
			new Vector3(1.35f, 0, 0),
			new Vector3(1.35f, 0, 2.0f),
			new Vector3(0.75f, 0, 2.5f),
		};

		transform.DOLocalPath(path, 2.0f, PathType.CatmullRom)
				.SetEase(Ease.Linear)
				.SetLookAt(0.01f, Vector3.forward)
				.SetOptions(false, AxisConstraint.Y);
    }
}

DoPathには3つの引数を渡します。それぞれ次の値を指定できます。

引数
第一引数 通る点の座標配列
第二引数 スタートからゴールまでの時間
第三引数 直線補間か曲線補完か

ここでは3点の座標を通るようにVector3型のpositions配列で指定しています。また、第三引数にはスプライン曲線で補間するように、CatmullRomを指定しています。

また、DoPathメソッドには続けてSetLookAtやSetOptionを指定しています。それぞれ次のような値を指定できます。

メソッド 意味
SetLookAt どちらに顔を向けて走るか
SetEase イージング。パス走行のときは基本的にLinerでOK
SetOptions 挙動のオプション

SetOptionsだけ詳しく説明しておきます。第一引数をtrueにすると、ゴールに着いたときに自動的にスタート地点に戻るようになります。また、第二引数では動かしたくない値を指定することが出来ます。ここではAxisConstraint.Yを指定することで上下に移動するのを防いでいます。

実行してみる

実行結果は次のようになりました。コマが滑らかに動いていることがわかると思います。このようにDOTweenを使えば、ベジェ曲線やスプライン曲線を自分で実装しなくても簡単に曲線補間したパスを使うことが出来ます

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動かしたいモデルををパスに沿って動かすのも簡単に出来ました。DOTweenは他にも便利な機能満載なので、ぜひ調べてみてください。

おまけ

今回はVector3で通る点の座標を指定しましたが、GameObjectを使ってエディタで指定することも出来ます(こっちのほうが視覚的で分かりやすいですね)

その場合はスクリプトにGameObjectの配列を作って、LinqでVector3の配列に変換すると便利です。

import System.Linq;
・・・
public GameObject[] positions = new GameObject[5];
・・・
Vector3[] path = positions.Select(x => x.transform.position).ToArray();
transform.DOPath (path, 1.0f, PathType.CatmullRom);
・・・