今回の遊びに関する本は、一条真也さんの「遊びの神話」ですー。
ビジネスの中心がハードからソフトへ移行していくことは言われていた(中略)そこで、ぼくが関心を持っているサービスやエンターテイメント、カルチャーなどに関わる産業のために、ハートという概念を用意したのである。ソフトが知的情報であるのに対して、ハートは心的情報である。
コンピュータ業界でも、ハードウェアの進化はほぼムーアの法則によって律速され、ソフトウェアの進化も飽和してきた今、付加価値としてのエモーショナルな情報をいかに提示できるかが重要な課題になってきているように感じます。例えば、さくら色のLEDライトだったり、南部鉄器羽釜がそうだったりするのかもしれません。日本人がいかにも好きそうじゃないですか、「さくら」とか「釜」とか。えぇ、僕も買いましたよ(笑)
そして、この本では遊びにおいてもプラスアルファの心的情報が重要であることを、様々な例を挙げて紹介しています。その数が結構多くて
- レジャーランド
- オリンピック
- 博覧会
- 庭園
- ドーム
- サーカス
- マジック
- 人形劇
- オペラ
- 映画
- グルメ
- ホテル
- 客船
- 列車
- ディスコ
- 夜遊び
とこれだけあるんですね。たしかに一つ一つはその通り、たしかに著者の言う「ハート」がユーザの満足感を引き出す重要な役割を果たしているのですが、やはりこじつけた感が否めない。。。何かをシステマティックに理解したいとき「分類」って、とっても役に立つと思うんですけど、新しいもの(遊び)を考えるときにはそんなーに役に立たなかったりするのです。「面白さは科学出来ない」とは誰の言葉だったでしょうか、僕かもしれません(笑)
では、この本に価値がないのかというとそんなことはなくて、上にあげた遊びに対しての引用と歴史的背景の記述がかなり充実していて、一つ一つの話がとてもイイ感じ!著名人の言葉の引用が本当にハイセンスで面白いです。「ハート」とかええから、もっと引用を!ってなります。
例えば、
レジャー産業は、唯二人の天才を持った。小林一三とウォルト・ディズニーである。
(小林一三は宝塚作った人)だったり、
「自然は直線を嫌う」という有名な発言をし、不規則(イレギュラー)の美を発見した造園家ウィリアム・・・
(数学的に美しいものもリニアではないことが多いよねー)だったり、
世界における演劇芸術の初めは、いずれも演ずる人々を見る人々が取り囲んで、両者の間の極めて親近な精神的コミュニケーションの中でパフォーマンスが行われていた
(おぉ、AKB48みたい)だったり
人形を動かすことの中には、神を「遊ばせる」という言葉の本質的な意味が現れるようです。
だったり、
貴族とか王様というのは、一番最初に退屈があると思うのね。
このように、遊びに関する引用がイケてるので、一度は目を通しておきたい一冊です。ただし、著者の言う「ハート」とか「ハートピア」とか「ハートフル」とか勝手な定義にイライラするかもしれませんが・・・(笑)なので、引用と歴史的な背景だけを拾い読みするのもありかもー。
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